ちっちゃかったころの夢。
白馬に跨った王子様がこの辛い現実から助けてくれる。
そしてキラキラ輝くお城に迎え入れられて、毎日なんの苦労もせずに生きていく。
今はそんな事思っちゃいない。
この生活が1日でも長く続けば・・・。と思う。
親父の置いて行った店で、自分の実力で手に入れたお客さんがいて、
そんな私を助けてくれる仲間がいて、
私を支えてくれる愛しい人がいて。
平凡だってリシェルは笑うけど、私にはとても大切で重要な事。
昔の夢、今の夢
「フェアの小さなころの夢教えて?平凡に生きる以外で。」
「いきなりどうしたの?」
ゆったりとした昼過ぎ。
気晴らしにきた草原で。
「気になった・・・。だめ?」
「別にいいけど・・・笑わない?」
ニッコリと笑うコーラル。
それを見ているとなんだか胸が安らぐような、ドキドキするような。
「笑わないかと・・・。」
やさしく微笑むコーラルは子供なのに、私よりも大人に見える。
確かに頭の良さでいえばコーラルの方が断然上で世の中の知識を知っているのだが。
踏んできた場数は違うと思いたい。
「小さなころの夢・・・ホントに小さいころの夢なんだけど、」
コーラルは、私の言葉に耳を傾けた。
「・・・ふふ。」
「今笑ったでしょ?笑わないって言ったのに!」
「・・・可愛い。フェアは、本当に可愛くて愛しい。」
本当に子供なのかたまに思う。
こんな言葉は誰に教わったのか。
恥ずかしくて、照れしまう。
「じゃあ、ボクが王子。姫はフェア。
馬には乗ってないし、お金なんてない。楽な暮らしはさせてあげられないけど・・・。
それでも、可能?」
「いいよ。コーラルが私の隣にいるだけでいいんだから。」
昔の夢は叶いそうにない。
でも今の夢の中で、可愛らしい王子様が私の目の前で微笑んでるから
これ以上望むなんてできない。
あなたが隣でいるだけでいいの。
ここから作っていく事が私の夢だから。
fin
あとがき
コーラルが恋しい。
フェアたんが・・・!!
フェア視点は難しいです。
フェアたんがコーラルの事どう思っているか掴みにくい・・・。
でも小さいころは叶わない夢を見てるだろうなぁ・・・。って考えてったらすーとかけた。
コーラルはいいね。セリフがぽんぽん出て来る。それを簡略化するのが難しいけど。