目を閉じて願おう。
*時の涙*
少し肌寒くなった季節に
微妙な温度で嫌になるような
そんな気分だったんだ。
体が追いつかなかったのか
少しだるさを持った体。
風邪を引いてしまったようで
ボゥと曖昧な痛さを頭は覚えていた。
「ジューダス、風邪でも引いたでしょ?」
いつのまにか隣にいた恋人。
「そうかもしれない・・・。情けないな。」
上目使いのハロルドは嬉々とした表情で
こちらを見つめる。
「あら、そうかしら?
ジューダスが本当に人間なんだって思うわよ。」
「嫌味か?」
「そうねぇ、皮肉でもあるかしら?」
曇りのないハロルドの笑顔。
でも、何故だか本当に喜んでいるんだ。
「そんなに俺に病気になっていてほしいか?」
「たのしいわよ。だって、あんまり心配かけないし。」
ニッコリ、いや、ニヤリと笑った感じ。
そう、いつもお前には勝てない気がする。
「何顔赤くしてんのよっ、可愛いわね。」
「うるさい。」
そういうと急にハロルドは表情を曇らせた。
悲しいような、それでも飄々とした様子。
「そう、ずっとこんな感じでいれたらいいわよね。」
時は涙を流した。
なぜこうも運命と言うものは皮肉なのだろうか。
まるで一緒にいているのに離れ離れ。
なさけないね、どうしてこうもうまくいかない。
この先ずっと、と言わないから
一年先、一ヶ月先、一週間先、一日先。 たった一秒でもいい。
恋人と「好き」と言う気持ちを持ったまま 一緒にいたい。
上手い言葉はいえない。
だけど、言える言葉はたった一つ。
目を閉じて願おう。
「あぁ、 好きなお前と 一緒にいれたらいいな。」
時よ、涙を流さないで。

あとがき
一周年記念っっ!!
最初ッから通ってくれてる人もそうでない人も
貴方たちがいたから続けてこれました。
ありがとうございますっ。
ちなみに「時の涙」っていうのは
時=運命、涙=優しさって解釈です。
分かりづらい解釈ですいませんっ。
報告しなくても良いですが報告してくれると喜びます!!
これからも末永く温かい目で見てもらえれば幸いですッv
