新薬のためといい、無理やり飲まされたそれは睡眠薬らしい。
少し眠くなってきた。
元々効きにくい体の僕は部屋のベットの上で横たわり、変化が無いかとじっとしていた。


僕の足元に座っているのハロルド。
薬を飲ませた張本人。

「何かだるいとか頭痛とかは無い?」


楽しそうな声。
手にはメモ。
僕は実験用モルモットになったかのよう。

「今は別に変わりはない。」

「ふーん。」


脈を取り、熱を測る。
そんな作業が続く。

「あのさ。」

しばらくの沈黙のあと、ハロルドが口を開く。
さっきとは打って変わって真剣な声。

「その薬、何だと思う?」

僕は起き上がり、ハロルドの目を見る。
大きくて綺麗な瞳。
その瞳がまっすぐ僕を見つめる。


「なんなんだ?」

「私の愛の薬。」


少しふざけたように笑うハロルド。
呆れ半分可愛いと思う気持ち半分。

「ほんとはね、新しく作った睡眠薬。ジューダスにはサンプルになってもらったの。」


そんなことは分かりきっている。
ハロルドも知っているはず。

なぜいきなりそんなことを改めて言うのだ?


「どうしてサンプルになってもらったかっていうとね。
あんた何を焦っているの?少し休んだら?」

あまりに予想していた事と違う事をいわれたのでビックリした。
こいつが僕の事を心配するなんて。


「いつも顔色悪いし、最近寝不足だし。ストレスもあるでしょう?
寝不足なのもおおかた考え事してるせいでしょ。それで食欲が無くなる。」

すべて言い当てられる屈辱感。そしてわかってくれているという安心感。
だんだんと眠気が襲ってくる。


「ゆっくり私の愛を噛み締めて寝て疲れを取って。
そうじゃないと私のサンプルが一人減るじゃない?」


本気なのか冗談なのか分からない笑み。
ハロルドらしい言葉が僕の心を落ち着かす。



僕の体を横にして部屋を出て行くハロルド。
そして僕は一人になった部屋で言われた通りハロルドの愛を噛み締めて寝る事にした。



甘えっぱなしというのも癪だが。






fin





6:サンプルゲット!

あとがき
お題にそろうとすると出来ないような気がする。[コラ
何気ないやり取りのハロジュをあまり書いた事がない気が・・・。
みんな深刻ぽい気がする。イメージかな。。
ジューダスはこんなに寡黙キャラじゃないよね。[笑