「大の為に小を犠牲にしてはならない。・・・か。」

アトワイトを助けたあと、色々あって休む暇がなかった。
やっとできた休憩でロニがいった言葉を呟く。

アトワイトは助かった。
それは良かったけどその言葉が心に引っかかっていた。
私達は軍人だからいやでも大の為に小を犠牲にする。
そういうのは当たり前の事で間違ってると思ったらすべてが間違ってる事になる。
だから、みんなつらくても口にはしない。

まっこれは思想の問題ね。
みんな考えてる事は違う。同じ事を思っててもどこか違ってきちゃうんだわ。



あと10分。コップに入ってる薄いコーヒーを飲み干した。



「あら。」
扉を開けるとジューダスが居た。
手にはここじゃ珍しい甘いお菓子。
見た事ないメーカーだからジューダスたちの時代の物だろう。
気がきくじゃない。
「私に持って来てくれたの?」
「あぁ・・・疲れてるだろうってナナリーがな。」



「すぐ時間だから本当はいけないんだけどゆっくり食べましょ。
お菓子、少ししかないし。」
「いいのか?それで。」
ジューダスは顔をしかめた。
「いいじゃない、いつも徹夜してるんだし。
少し休む位どってことないわ。」



「あんたは、どう思った?」
私は思っていた事をなんとなく話してみた。
ジューダスなら分かってくれるかもと言う思いと、口は堅そうだと思ったから。
一番の理由はやっぱり、なんとなくなんだけど。

「別にいいんじゃないのか?
僕はお前がそう思っていたというのがすごく人間らしいと思ってビックリしたが。」
なによ。
人の事なんだと思ってるのかしらと思ったけど何も言わなかった。
彼は彼なりに考えてると思ったから。
「僕は大の為には大なり小なりの犠牲を払わなければ叶わないと思っている。
この戦争だって犠牲になった人達はたくさんいるだろう?」



丁度、10分たった。
あの後の話からは何を喋るわけでもなくお菓子を食べていた。
ジューダスは私の出したコーヒーを飲んでいるだけだったけど。

「あんたさ、すごく興味深いわ。」
研究室にいく前、私の部屋の扉のところで。
「どういう意味だ?」
「どうって・・・そういう意味だけど?」



こいつはきっと私を助けに来ない気がする。
もしくは、自分を小にするかもしれない。

二つの相反する可能性が興味を引く。




「まっ、覚悟してなさいよ。」
研究室でボソリ、独り言。




19.天地戦争

あとがき
TOD2の小説を読んでいてふと浮かんだ小説。
ジューダスならどうするだろうって考えてもわからなくて
小説なら人それぞれちがう考えでジューダスを動かす訳だから色々あるんだろけど
私はわからないままハロルド視点で。ハロルド視点は明るいので好きです。
なにげなくしゃべったハロルドがジューダスに惹かれていく感じが分かってもらえると幸いです。