空は冷たく、笑ったの。






The cold sky






二人で、外に出たの。

散歩、デートってところ。

ほんの少しの二人の時間。




「なんだか、雲が出てるな・・・。」

「そうねぇ、灰色って感じ。」



思い切り晴れてくれたも良いのに、

なんてぼやく。

なんて冷たい、空なんでしょう?



「雨が降りそう。」

「そうだな・・・。早めに、戻らないとな。」

「嫌よ、雨が降ったって構わないもの。」

「お前は馬鹿か?
 風邪引いたら、どうするんだ。」


つれない、冷たい空。



ぽつぽつと、雨が降り出す。

どうしようもないと思う。

天気は分かっても、すぐには変える事なんて

無理なんだもの。



「あーぁ。雨、降り出しちゃった。」

「ハロルド、戻ろう。」

「私は、外で貴方と過ごしたいの。」



冷たい、空は涙を流すの。

同情的な、雨は心の中で笑っているの。



「馬鹿か。
 俺は、お前が風邪なんか引かないとは思うがな、
 それなりに、心配なんだぞ?」

「あら、嬉しいこといってくれるじゃない。」



良い事を思いつく。

雨はぽつぽつ、次第に強く。


「・・・そうね、戻るから雨に濡れた私を
 温めてくれるって言うなら、戻ってもいいわよ?」



二人、濡れて温めあうの。

たとえ冷たかろうと、笑おうと

二人がいれば充分なの。




私は、空さえ味方にして笑うの。







-fin-







2:The cold sky【冷たい空】