好きなんだって思い知らされるんだ。
お前の仕草一つ一つが頭から離れない
名前を呼ばれる、心が弾む。
見つめられる、心が弾む。
抱きしめられる、心が弾む。
ドキドキと心は崩壊寸前。
時間さえも崩壊して僕らに壊れた時間を
与えてくれれば良いのに。
グラグラと情緒不安定。
貴方が名前を呼ぶたび、
見つめられるたび、
抱きしめるたび、
やるせない刹那がひしひしと頭を伝わって 体に現れる。
自分からのキス。舌を絡め、不安定な自分を相手に移すように。
いつもはしない、勇気のない僕には出来ない。
「・・・あら、今日は大胆ね。」
不敵な笑みを見せるハロルド。
その笑みは妖艶でもあった。
僕の唇を触る、何度か繰り返したあと紅潮した僕の頬を
確かめるように撫でる。
「いつもは、しないじゃない?
今日は先を越されちゃったわね。」
にっこりと笑うハロルド。
心底嬉しかったのか、自分が嬉しかったのか
とても綺麗で、妖艶で、美しかった。
「いやだったのか?」
刹那主義の体が好きなハロルドを
何も考えずにベットへと押し倒す。
「ううん、慣れてないだけよ。
どったの?ジューダスがこんなにも大胆だったなんて
知らなかったわよ。」
「・・・だからいやなのか?」
「んっ・・・。」
首筋にキス。
いつもなら僕が嫌がる場所に今日はキス。
紅く残った痕に愛しさまで覚える。
ハロルドの少しの声だって聞き逃したくない。
グイっと腕を引っ張られ、自分もベットに寝転ぶ形に なる。
ハロルドはそんな僕を見て嬉しそうだ。
「ジューダス、なんかあるんでしょう? 話してくれないとやらない。」
試すような顔。いじらしい。
グラグラな精神状態。
「お前といたいんだ。好きでたまらない。 印がほしい。時間なんてなければ良いのに。
・・・・変だな、いつもの僕ではない。」
自嘲的に笑う僕。
面白そうに笑うハロルド。
「いいわよ、・・・来て?」
本当に好きなら好きになんかならなければ良かった。
手放したくないほど好きになるなんて思わなかった。
心地よい感覚が一気に迫ってくる。
お前とはなれるなんて想像もつかない。
いつものようにおどけて僕の前に現れれば良いのに。
「ジューダス・・・、私の事好き?」
「好きだ、愛してる・・・・。」
本気で思ってるんだ。嘘なんかない。
だから一層つらいんだ。
本当に好きなら好きになんかならなければ良かったんだ。
ーfin−