「おい、ハロルド。」
清清しい朝。
部屋の外で愛しのジューダスが呼んでいる。
彼に起こされれば寝覚めがいい。 って言うのは嘘でとても機嫌は最悪。
夜更かししたせいかクマは出来るしいつも以上に髪は跳ねまくっている。
そんなこと分かりきってるから鏡を見たくなくて今日は寝てようと思っていたのに。
なによ。こんなときに来なくても良いじゃない。
「入るぞ。」
がちゃりと音がする。
私は布団を被った。だって私の可愛くない姿見られたくないもの。
まぁ、いつも可愛いけど。
「なに?」
機嫌が悪いのを前面に出すような声で喋る。
あんたがいけないのよ?あんたがこんな時にくるんだし。
「出かけるんじゃなかったのか?」
そういえばそんな約束をしたかもしれない。
その時はなんとなくジューダスと出かけたくて。
「今日は駄目。だって顔、ひどいもの。」
我ながら我が侭だとは思ったけどだって仕方ないじゃない?
女ってそんな物なのよ。データを採ったわけじゃないけど。
好きな人に綺麗に見せたいって事は女性だったら思うはずだわ。
こんな事、思うのは初めてだけどね。
「なんなんだ?お前は本当に我が侭だな・・・。」
そんな事いつも思ってる事でしょう?
いつもの事なの。私はジューダスが好きだから。
なんだかジューダスのこと苛めたくなってきたかも。
「ねぇ、ジューダス。私着替えるからそっち向いててよ。」
可愛いジューダスは真っ赤になって呆れる。
「そしたら出て行く。何馬鹿なことを言っているんだ?」
今の貴方が何を言っても微笑ましくて説得力ないわよ。
大人ぶっててもホントは16歳なんだって分かってるんだから。
「いつまで顔を見せないでいる気なんだ?」
いつまでも布団を被っているとジューダスは不機嫌そうにそういった。
なによ。あんな変な仮面被ってる奴に言われたくないわよ。
でもまぁいつまでもそうしてる訳にもいかないしお腹減ったし外に出よう。
でも、先にジューダスに出てってもらわなきゃ。
「じゃあさ、顔みせるから出てってよ。用意するから。」
そうするとジューダスはドアの方へと歩いていく。
そして一言。
「別に、化粧をしなくてもいいと思う。お前の顔はそんな酷くない。」
はっとした。顔がニヤついていくのがわかる。
そういえば何回もジューダスに起こされてたっけ。
都合悪いから忘れてたけど。
すごく嬉しくなった。あいつの言い方なら今の言葉は・・・。
「布団、被ってなくていいのか?お前の言う酷い顔が見えてるぞ。」
ばたんとドアが閉まる。
うれしくて忘れていたけど布団を被らずにジューダスのことを見ていた。
照れ隠しのつもりなんだろうけど今の言葉は要らなかったわよ。
まったくと思いつつ私は出かける支度をする。
なんだかわくわくしてたまらない。
私の心の半数以上がジューダスの事を考えてる。
あぁなんでかしら。貴方が単純で複雑な性格してるから?
まぁいいか。ジューダスのこと知りたいっていう気持ちに理由なんて要らないから。
・・・なんてね。
Fin
2:ジューダス
あとがき。
ハロルドになりきって書いてみた作品。
こんなに幼いか?!とか思いつつまぁ人とあまり付き合ってないしとか思いつつ・・・。[言い訳
でも日常的ハロジュを書いたのは初めてなので楽しかったです。 いつも夜とかが舞台なので少しは明るくなったかな?