敵なのに。父なのに。


死んでしまって悲しいのにほっとしている。





『娘よ・・・。』






後悔はしていないけれど

あの優しい声が忘れられない。




















「ナタリア?」






夜の色で鮮やかに見える黄色の髪。

夜の色に似た吸い込まれそうな青色の瞳。










「ガイ・・・。何でここにいるってわかったんです?」


「ナタリアがふらっと出ていくのが見えたからね。

心配になってさ。」






慰めに来てくれたのかしら。

なんて優しい人なのでしょう。































「忘れられないのか?」

「まぁ・・・。そうですわね。」



ぐっと

涙が出そうになるのをこらえる。






「泣いても いいんだぞ?」




優しい声。

辛い時何度も聞いた安心する、優しい声。


この人に甘えてばかりだと気付かされる声。






「後悔していないのにどうして泣くのです?」



かわいくない。

どうせ泣いてしまうのに。






「そうだな。


でもつらいだろう?そういう時は思いっきり泣いて

その後、前を向けばいいんだ。」


昔から何度も見せてくれた偽りのない笑顔。

拒否したって否定したって笑顔で掛けてくれるその言葉。



「そんな・・・ 私弱気なんかじゃ・・・ ないですわ。」


溢れる感情

止まれと願うのに止まらない。
































ふわりと。

震える腕が私の頭を抱き締める

強い心が私の心を包みこむ。


この人には甘える事しかできないと錯覚させられる温かさ。











あぁ

この人はお父様に似ているのだわ。










妙な気持ちが頭をよぎる。






抱き締め返すと私を抱き締める力が強くなる。










いまは泣いてその後前を向こう。






私のために。お父様のために。この人のために。
















Fin





4[メリル]

あとがき
ガイはナタリアにとってお父さんでもあると思うんです。
お父さんて頼りになる人ってイメージなんですな私は。
ときにはお兄さんだったりもします。[笑

身近にいて大人で気兼ねなく喋れるって人はガイなんです。
どんな事も温かく包みこんでくれるのですよ彼は。
ルークやアッシュには出来ない芸当だと思います。[笑
ナタリアはそこに惹かれているんでしょう。