一人もの思い。
*すべてが、好き*
沈む心、沈む夕日。
宿屋の窓からの景色。
月は、顔を出すんだ。
好きでたまらない、あの子の好きな人。
どうも俺は、その人の事だけは
一生好きになれないよ。
「はあぁ・・・。」
思わず溜め息。
まるで、好みとは外れている気がする。
あの子が俺の事、意識してくれるのかなんて
・・・・・・・・・・。
当たり前になって欲しいけど。
自分に自信が無くなっていきそう。
「はぁあ・・・。」
また、溜め息。
そうすると控えめなノックが聞こえる。
「どうぞ。」
願ってもなかった訪問者。
アーリア。
「ごめんなさい、ちょっといい?」
伏せ目がちのアーリア。
「なななんだい?」
今まで思っていた子が現れて慌ててしまう。
・・・情けない。
「なんだか元気がないみたいだから、心配になって。
・・・・なんかあったら、私、相談に乗るからね。」
「え・・・?」
「あ、・・・私なんかより同姓のカイウスやフォレストに相談した方がいいのかしら?」
「や、いやいや。
・・・うん。そうさせてもらうよ。」
彼女は俺を見てくれていた。
見てくれているなら、気付いてくれるといい。
気付いてくれなきゃ、俺から言えばいい。
あぁ、考えても時間の無駄だったみたい。
月は大声を出して笑った。
だって何があったって
俺は、貴女の事が大好きだから。
貴女の全てを受け入れたい。
貴女が好きだから。
・・・一人、もの思い。
−FIN−